長期優良住宅

長期優良住宅とは住宅を良好な状態で長持ちさせるために必要な基準を満たした国が認める認定住宅です。日本の住宅の耐用年数が約30年といわれる中、50年、100年と長く使い続けられるよう、先を見据えた高い性能を維持できるような仕組みが用意されています。認定には、建物の耐震性や耐久性、断熱性能が高いことに加え、定期的な点検、補修等の計画が予め作られる維持管理などの条件が挙げられています。
また長期優良住宅には、住宅ローン減税や登録免許税、不動産取得税、固定資産税の減税、住宅ローン減税や金利優遇といったメリットがあります。特に質の高い住宅に使うことができる「フラット35S」(長期固定金利の住宅ローン)が利用できるところも魅力の一つです。

見えない部分の性能を高めた、バランスの取れた住宅

性能項目等概要
① 耐震性 極めて稀に発生する地震に対して、継続利用のための修繕の容易化を図るため、損傷のレベル低下を図ること 大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制する措置を講じる [ 地震に対する耐力による場合 ]建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しないこと
② 劣化対策 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること
通常想定される維持管理条件下で、構造躯体の使用継続期間が少なくとも100年程度となる措置
[ 木造 ]床下及び小屋裏の点検口を設置すること
点検のため、床下空間の一定の高さを確保すること
③ 省エネルギー性 必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること
省エネ法に規定する平成11年省エネルギー基準に適合すること
④ 居住性良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること [ 戸建ての住宅 ] 75m2以上(2人世帯の一般型誘導居住面積水準)
⑤ 居住環境良好な景観の形成、そのほかの地域における居住環境の維持および向上に配慮されたものであること
⑥ メンテナンス対策 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること
⑦ 維持保全計画建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修などに関する計画が策定されていること

現在の建築基準法では、一般住宅に対して数百年に一度発生するといわれている震度6強以上の地震で倒れない耐震性を求めています。
長期優良住宅の場合は一般住宅の1.25倍以上の耐震強度を持った住宅となります。
また耐震等級2以上を満たすには、耐力壁量が増えるだけではなく、接合部の強さや床、基礎、梁の強さのチェックを行うため、より確かな耐震性を持った住宅を建てることができます。

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次世代省エネ基準という断熱性能を求められる長期優良住宅は、高い断熱性能が求められています。断熱性能が高くなると、冷暖房費の節約につながるばかりでなく、部屋間の温度差の少ない住まいになります。ヒートショックによる家庭内事故の抑制、快適な家づくりにつながります。

木造の建物を長持ちさせるためには、使用する木材が常に乾燥した状態を保ち続けることが重要で、木材そのものの性質よりも大切なことです。
長期優良住宅では、湿気対策として、屋根や床の換気を十分行う、壁内部の通気を取るなど、さまざまな工夫がなされています。

資産としての住宅

長期優良住宅を一言でいえば、「いい住まいを建てて、きちんと手入れして、長く大切に使い続ける」ということです。建てたときは高性能であってもその性能を維持するためには日ごろの点検が大切です。
木造住宅の減価償却期間は22年、また商慣行では築後20年から25年程度で一律に市場価値がゼロになるとされてきましたが、長期優良住宅の普及や定期的なリフォーム、メンテナンス状況を反映した評価がなされていくようになります。

住宅ローンの金利引き下げについて

フラット35Sの金利引き下げは-0.3%が10年間続きます。

長期優良住宅は、フラット35Sを利用できます。
0.3%の金利引き下げを10年間受けることができます。
一般住宅に比べると、10年間では大きな違いになります。

【フラット35Sを使える長期優良住宅の住宅ローン総返済額の試算】
【試算例】借入額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利1.79%の場合で試算

ローン総返済返済額長期優良住宅一般住宅差額
当初10年間 年1.49%
11年目以降 年1.79
39,497,984円
35年間
年1.79%固定金利
40,393,803円
895,819円

減税について

住宅ローン控除の 最大控除が500万円に

長期優良住宅認定を取得した住宅は、対象ローン限度額が一般的な住宅より1,000万円高い為、10年間のトータルで最高500万円の減税を受けられます。

【長期優良住宅の住宅ローン控除】

適用期限控除期間対象ローン限度額控除率合計最高控除額
平成29年12月10年間5,000万円1.00%500万円

登録免許税、不動産取得税、固定資産税にも減免処置

登録免許税、不動産取得税、固定資産税についても一般住宅に比べて、より大きな減税処置が設けられています。

【長期優良住宅と一般住宅の総減税額比較】

一般住宅
登録免許税保存登記 1.5/1000
移転登記 3.0/1000
抵当権設定登記 1.0/1000
不動産取得税 1200万円控除
固定資産税[戸建て]1~3年目 1/2軽減
長期優良住宅
1.0/1000
2.0/1000
1.0/1000
1300万円控除
1~5年目 1/2 軽減

投資型減税は最大65万円控除

ローンを利用せずに、自己資金のみで取得する場合、住宅ローン減税は利用できませんが、長期優良住宅では、自己資金のみで取得する場合にも所得税が控除されます。

【長期優良住宅の投資型減税】

控除対象限度額控除期間控除率最大控除適用期限
650万円1年間1065万円平成29年末

コラム~交通事故よりも高い家庭内事故

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平成26年の人口動態調査によると、交通事故による不慮の事故は5,717人。10年前と比較すると約半分にまで減っています。これは道交法の改正や高いシートベルト着用率、自動車のブレーキ性能の向上などが原因といわれています。一方、家庭内事故においては、驚くべきことにその交通事故の2.5倍、14,334人もの方が事故に遭われています。
住宅そのものの快適性や耐久性、耐震性が高まる中、住まい手を考えた室内の安全性についても今一度考える必要があるでしょう。