日本の木材を大切に使う
森林資源が豊富な日本
地球の7割が海、3割が陸地ですが、森の割合は陸地の約1割といわれています。その森が全世界の空気を作っていると考えると、森はとても大切な役割を果たしています。
世界的にみると、森林面積は先進地域で横ばい、開発途上地域で減少傾向となっている中、日本は国土面積に占める森林面積は約7割となっており、先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次いで第3位、日本は資源のない国といわれますが、森林資源については豊富に有しています。
荒廃が懸念される日本の森林
今でこそ豊かな緑が多い日本ですが、戦後は伐採が続いたため、はげ山が日本各地で見られました。しかしながら、先人たちの努力をはじめ、昭和39年の木材輸入自由化による急激な外材供給、木材に代わる代替エネルギー等により、国内の森林保護につながる結果となりました。近年、森林資源量は人工林を中心に毎年約1億m³づつ増加するまで成長しました。
一方、日本の年間木材消費量は約7000万m³、そのうち国産材の利用量は2000万m³にとどまっております。森林資源は着実に増えているものの、今なお輸入材に頼っているのが現状です。半数以上の道府県が森林環境税を導入して森林の維持・整備を行っていますが、今こそ木材需給率を上げて森林の活性化を図るときが訪れています。
再生産可能な木材資源を生かす取り組み
もしも私たちが木材を使わなければ、せっかく伐(き)った木が売れなくなりますから、林業の担い手は収入を得ることができなくなり、結果森林の手入れもできなくなってしまうのです。
「植える→育てる→収穫する」という森林のサイクルに加え、住宅をはじめとする木材需要を地域に作ることで、森林のサイクルがうまく循環し、木材の生産活動も活発になり、新たな資源が生み出されることにつながるはずです。
伐ったら植えて育てる。
管理された森林から生産される木材を適切な量を使うことで、自然と共存することができると考えています。
森林の多面的機能
森林は私たちの暮らしを支えています。森林は木材生産の場だけではなく、水や空気を育み、私たちや動植物の生態を守ってくれる大切な財産なのです。
森林のはたらきとは?
生物多様性保全
我が国の森林は、約200種の鳥類、2万種の昆虫類をはじめとする野生動植物の生息・生育の場となっています。このように、森林は、遺伝子や生物種、生態系を保全するという、根源的な機能を持っています。
地球環境保全
森林は、温暖化の原因である二酸化炭素の吸収や蒸発散作用により、地球規模で自然環境を調節しています。
土砂災害防止機能/土壌保全機能
森林の下層植生や落枝落葉が地表の浸食を抑制するとともに、森林の樹木が根を張り巡らすことによって土砂の崩壊を防いでいます。
水源涵養機能
森林の土壌が、降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、川の流量を安定させる機能を持っています。また、雨水が森林土壌を通過することにより、水質が浄化されます。
快適環境形成機能
森林は蒸発散作用等により気候を緩和するとともに、防風や防音、樹木の樹冠による塵埃の吸着、いわゆるヒートアイランド現象の緩和などにより、快適な環境形成に寄与しています。
保健・レクリエーション機能
森林は、フィトンチッドに代表される樹木からの揮発性物質により直接的な健康増進効果が得られるほか、行楽やスポーツの場を提供しています。
文化機能
森林のランドスケープ(景観)は、行楽や芸術の対象として人々に感動を与えるほか、伝統文化伝承の基盤として日本人の自然観の形成に大きく関わっています。また、森林環境教育や体験学習の場としての役割を果たしています。
物質生産機能
森林は環境に優しい資材である木材の生産のほか、各種の抽出成分、きのこなどを提供しています。
国産材を使うことは日本の森を育てることにつながります。
そのような視点で木の家づくりを行ってみてはいかがでしょうか?